子どもが少し大きくなって、そろそろ仕事を始めたい。
でも、いざ働くことを考えると、色々な不安が出てきませんか?
子どもの送り迎えはどうする?急に熱を出したら?
仕事が終わってから、夕飯を作って、お風呂に入れて、寝かしつけて……。
それ、全部ちゃんと回せるのかな?
私は以前、幼稚園教諭として13年間働いていました。
仕事は大好きでした。子どもたちと過ごす毎日は楽しかったし、やりがいも感じていました。
でも、第一子の出産を経て職場復帰したあと、少しずつ、それまでの働き方に無理が生じるようになったんです。そして最終的には、大好きだった仕事を辞めることにしました。
今日は、そんな私の経験をお話ししたいと思います。
1歳半の子どもを預けて、仕事に復帰した
第一子を出産したあと、約1年半の育児休業を取得しました。
そして4月、幼稚園教諭として職場復帰。
当時は、今のように短時間勤務を選べる環境ではありませんでした。
つまり、子どもが生まれる前と同じように働くということ。
朝早くから仕事に出かけて、帰宅するのは夕方以降。
その間、まだ1歳半の我が子を保育園に預ける生活が始まりました。
これがね、想像していた以上に大変だったんです。
朝、子どもを起こして、食事をさせて、着替えさせて、保育園の準備をする。自分も仕事に行く支度をしなければならない。やっと家を出られたと思っても、そこから保育園への送り届けが待っています。
そして、仕事が終わったらお迎え。帰宅しても、夕食、お風呂、寝かしつけ、翌日の準備……。
一日中、何かに追われているような生活でした。
しかも、我が家は夫の家事育児への協力がほとんどなく、送り迎えも家のことも、基本的に私一人。仕事を終えたからといって、休めるわけではありません。
まだ小さな子どもを長時間預けることへの申し訳なさもありました。
働きたい気持ちはある。でも、子どもとの時間も大切にしたい。
その両方を抱えながら、毎日を必死に回していました。
母親になって、仕事がもっと好きになった
ここまで読むと、私が幼稚園教諭の仕事を嫌になってしまったように思われるかもしれません。
でも、実はその逆だったんです。
自分自身が母親になったことで、保護者の気持ちが以前よりずっと分かるようになりました。
子どもを預けるときの不安。園でどんなふうに過ごしているのか、知りたい気持ち。
ちょっとした成長を一緒に喜んでもらえるうれしさ。
それまで頭では理解していたことが、自分の経験として分かるようになったんですね。
その経験は、私の保育にも大きく影響しました。
実際、教員生活の中でも、特に充実した一年がありました。
子どもたちとの関係も、クラスの雰囲気も本当に良くて。
毎日が楽しくて、次はどんなことをしようかと考えるだけでワクワクする。
ああ、私はこの仕事が本当に好きなんだな。
そう感じられた一年でした。
だからこそ、仕事を辞めるという選択は、単純な話ではなかったんです。
好きな仕事なのに、体がついていかなくなった
ところが、その翌年。仕事の負担が一気に大きくなりました。
クラス担任としての日々の業務に加え、大きな研究発表会の準備も重なりました。
家に帰れば、当然、母親としての仕事が待っています。
やることは山ほどあるのに、休む時間がない。
もともと睡眠にも悩みを抱えていた私は、次第に心身の余裕を失っていきました。
そして、ついには体調を大きく崩し、数週間入院することになったんです。
あの頃は、遠方に住む親に、船でわざわざ助けに来てもらったこともありました。
近くに頼れる人がほとんどいなかったので、本当に大変でした。
さらに、準備が十分にできないまま迎えた研究発表会では、思うような保育ができませんでした。
子どもたちも落ち着かなくなり、私自身もどうしていいか分からなくなってしまって。
あれほど好きだった仕事なのに。
それまで積み上げてきた自信が、ガラガラと崩れていくような感覚でした。
でも、今振り返ると、あのときの私は能力がなくなったわけではなかったんですよね。
自分の力を発揮できるだけの余裕が、もう残っていなかった。
そういう状態だったのだと思います。
13年間続けた仕事を辞めることにした

私は、幼稚園教諭を辞める決断をしました。第二子を妊娠する前のことです。
実はその頃、以前お世話になった園長先生から、
「別の幼稚園で主任として働かないか」というお話もいただいていました。
本当にありがたいお話でした。
でも、私はお断りしました。
保育の仕事は好き。
もっと挑戦したい気持ちが、まったくなかったわけでもありません。
ただ、これ以上同じ働き方を続けたら、自分の体がもたない。
それに、子どもとの時間も、もっと大切にしたかったんです。
13年間続けた仕事を手放すことに、迷いがなかったと言えば嘘になります。
でも、不思議と大きな後悔はありませんでした。
自分なりに一生懸命やってきた。楽しいことも、苦しいことも、たくさん経験した。
だから、もう次の道を考えてもいいんじゃないか。
そんな気持ちだったように思います。
そして、退職した翌朝。今でも忘れられないことがあります。
十年以上ぶりに、足の先まで、全部の力を抜いて眠れた
えっ、こんなに力を抜いて眠れるんだ。
自分でも驚きました。
13年間、ずっとどこかに力が入っていたのかもしれません。
あの朝の、体がふわっと軽くなるような感覚。今でも、はっきり覚えています。
仕事を諦めたのではなく、働き方を変えたかった
子育てをしながら働くって、本当に大変です。
もちろん、家庭環境も、仕事の内容も、人それぞれ違います。
周囲の協力があれば続けられる仕事もあるし、
働く時間を調整できれば無理なく両立できる場合もあると思います。
でも、当時の私には、それが難しかった。だからといって、
仕事をすること自体を諦めたかったわけではありません。
自分の能力を生かしたい。何かに夢中になって取り組みたい。
自分で収入も得たい。でも、子どもとの時間も、自分の健康も大切にしたい。
全部大事なんだけど。じゃあ、どうすれば実現できる?
私は昔から、そんなことばかり考えてきたように思います。
だから、幼稚園教諭を辞めたあとも、働くことそのものを諦めたわけではありませんでした。
ただ、それまでとは違う方法を探してみたかったんです。
もし今、あなたが仕事への復帰や再就職を考えながら、
「以前と同じように働けるかな」「子育てと両立できるかな」と不安を感じているなら。
以前と同じ働き方に戻ることだけを、正解にしなくてもいいと思うんです。
働く時間を変える。仕事の内容を変える。新しいスキルを身につける。
今まで考えたことのなかった働き方を探してみる。
すぐに答えが見つからなくても、選択肢を少しずつ広げていくことはできます。
私自身、その後も何度も働き方を選び直してきました。
うまくいったこともあれば、失敗したこともたくさんあります。その話は、また少しずつ書いていきたいと思います。
大切なものを諦めるのではなく、大切にできる働き方を探していく。
そんな選び方があっても、いいんじゃないかなと思っています。
